Dick Bruna(c)Mercis bv 1953-2011
2011年3月26日、
東日本大震災で被災した日本の子どもたちへ向けて送った
ディック・ブルーナさん(当時83歳)のミッフィーのイラストとメッセージ。
「絵本」作品の中では、あまり涙を流さないうさこちゃんが大粒の涙を流し、
あえて無色にしたというシンプルなイラストに、
無言の深い悲しみと優しさを感じた人は少なくなかったと思う。
あれから6年。
2017年2月17日、ディック・ブルーナ Dick Brunaさん
(本名:ヘンドリック・マフダレヌス・ブルーナ Hendrik Magdalenus Bruna)
が故郷ユトレヒトで亡くなりました。満89歳。
彼の絵本は、全世界で50カ国語以上に翻訳されて、8,500万部以上の
ロングセラーになっていることは有名です。
50カ国以上の子どもたちが、彼のお話に、絵に、色に触れていることを
想像すれば、涙よりも笑顔が溢れます。
日本では、最も早く翻訳されたようで、
1964年に『ちいさなうさこちゃん』(福音館書店)の初版が発行されました。
それ以降、5,000万部以上の絵本が刊行され、
「子どもが必ずどこかで出会う絵本」の代表的な存在になっている。
ブルーナさん自身1978年にはじめて日本を訪れて以来、
その後も幾度となく日本を訪れる親日家であり、
日本とのつながりは強かったようです。
「ちいさなうさこちゃん=ミッフィー」に代表されるように、
ブルーナさんの仕事は、イラストレーター、絵本作家としての姿が
最もよく知られていて、その業績は大きい。一方で、
48歳の時に、お父さんが経営していた出版社「A・W・ブルーナ&ズーン」を
退職するまで、この出版社の2,000冊にも及ぶペーパーバックの装丁の仕事に
もっとも大きな影響を受けました。短い時間の中で本の内容を象徴的な絵と色、
タイプフェイスという素材に翻訳して、それらを足していく仕事というよりも、
むしろ引き算をしてシンプルにしていくことが、装丁デザインという仕事を
第二の編集作業の様にとてもかっこよいと思ったことを憶えています。
多くの学びを与えてくれたことに心より感謝するとともに、
ご冥福をこころよりお祈りするばかりです。
●ブルーナさん逝去の公式プレスリリース(オランダ語)
リリースの中で、日本とのつながりを感じさせる一文も含まれています。
「ブルーナのシンプルさを追求したスタイルは日本で広く好まれ、
1960年代には既に大きな人気を博していました」と。
http://nijntje.pr.co/143170-dick-bruna-overleden